「この仕事、もう続けられる気がしない」
そう感じた瞬間、
心の奥ではすでに退職の意思が
固まりかけているものです。
ただ実際には、
「本当に辞めていいのか」
「自分が弱いだけではないか」
と自問し続け、動けなくなるケースも
多く見られます。
この「続ける自信がない」という感覚は、
単なる疲労や失敗体験の蓄積ではなく、
深層心理にある自己像の崩れと関係しています。
人は、本来「自分ならやれる」と
信じて日々の行動を積み重ねています。
しかし、過剰なプレッシャーや、
報われない努力、
理不尽な人間関係にさらされると、
「やっても無駄ではないか」という
学習性無力感に陥ります。
この状態にある人は、
仕事の内容ではなく、
「自分が何をしても変わらない」
という信念に苦しんでいます。
そのため、
「やりたくない」ではなく
「やれないかもしれない」という不安が、
退職の理由として表面化していきます。
心理的な視点で見ると、
これは自己防衛の一種です。
心が限界を迎え、これ以上の負荷に
耐えられないと判断した結果、
「逃げたい」という感情が
「自信がない」という理屈に
変換されて表出している構造です。
このとき、無理に自信を
取り戻そうとするよりも、
「その感情に意味がある」と
認めることが第一歩です。
一度立ち止まり、
自分が何に疲れていたのか、
どこで期待を裏切られたのか、
具体的に振り返ることが
回復のきっかけになります。
また、
「続ける自信がない」
という感覚には、
「別の場所ならやれるかもしれない」
という希望が隠れている
こともあります。
つまり、職場や仕事が変われば、
同じ自分でも力を発揮できる
可能性があるということです。
実際、退職後に副業や転職で
力を発揮する人は少なくありません。
これは「自分を責める」環境から、
「自分を活かす」環境へと移動したことが
大きな要因です。
退職理由に「自信がない」という言葉が
含まれていたとしても、
それは決して逃げではありません。
むしろ、限界を受け入れ、
再スタートを選ぶための
誠実な自己判断です。
問題は「続けられないこと」ではなく、
「続けるべきではない場所に
縛られていること」かもしれません。
その気づきが、
次の一歩を正しく選ぶ力になります。
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