大学を卒業した後、
就職せずにニート状態になる若者が
増えているという話を耳にします。

 

「就活に失敗した」
「働く気になれない」
「何がしたいか分からない」など、

その理由はさまざまですが、
共通しているのは
「社会に出る準備ができていない」
という感覚です。

 

そして、そうした状態に対し、周囲は
「もったいない」「甘えている」といった
反応を示すことが多いのが現実です。

しかし、表面的な批判だけで
終わらせるのではなく、
この状況を構造的に捉える必要があります。

 

まず前提として、現代社会において
「大学卒業＝即就職」が
唯一の正解ではなくなっています。

かつては、終身雇用が保証され、
どこかの企業に入ることが
安定した人生の入り口でした。

しかし今は、職種も雇用形態も多様化し、
「会社に入ること」自体が
目的化される時代ではなくなりつつあります。

その意味で、大学卒業後に
一度立ち止まることには
一定の価値があります。

 

特に、日本の大学生活は“猶予期間”として
過ごされることが多く、

「自分が何に向いているか」
「どう生きたいか」を深く考える機会が
少ないまま卒業を迎えるケースが
ほとんどです。

そのまま就職してしまえば、
違和感を抱えたまま数十年を
費やす可能性すらあります。

つまり、ニートという状態は、ある種
「自分に問い直す時間」を
確保しているとも言えます。

 

ただし、それが「逃げ」か、
「戦略」かによって、
未来の分岐は大きく異なります。

もし、「何となく怖いから働かない」
「面倒だから先送りにする」のであれば、
それは“時間の浪費”です。

しかし、「今は考える時間が必要だ」
「自分の土台を整えたい」という意図のもとで
行動しているなら、それは“戦略的な停止”です。

そして、この期間を価値あるものに変える鍵は、
「環境」と「行動の最小単位」にあります。

 

働かない期間であっても、
読書・運動・会話・副業・発信など、
小さなアウトプットを積み重ねることで、
内面の地力は確実に上がります。

1日30分のインプットと、週に1つの実践でさえ、
半年後には別人のような視点を手にできます。

 

また、「ニートである自分」に
劣等感を抱くよりも、

「この時間で何ができるか」に
焦点を移すことで、
未来の自己評価は好転していきます。

社会は一見、スピード重視に見えますが、
本当に求められるのは
「深く考え、動ける人材」です。

短期的な空白を過度に恐れるより、
その時間をどう編集するかが問われています。

 

大学卒業後にニートであること自体は
問題ではありません。

その状態をどう意味づけし、
どう未来につなげるか。

それが人生の分かれ道になります。

立ち止まることは敗北ではなく、
選択の自由を得るための
準備期間とも言えます。

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