社会人になると、多くの人が
「とりあえず入っておいた方がいい」
と言われて保険に加入します。

生命保険、医療保険、がん保険、
収入保障保険…。

しかし数年後、その保険が
「今の生活に本当に必要か」と
自問する人は意外に少ないのが現実です。

保険とは、本質的には
「自分では対応できない大きなリスクを
分散する仕組み」です。

したがって、「何に対して」
「どれだけの金額を」「どの期間」
カバーする必要があるかが明確でなければ、
適切な設計とは言えません。

たとえば独身で扶養がなく、
会社員として健康保険や
傷病手当が整っている場合、
手厚い生命保険は必要性が薄くなります。

一方で、結婚や出産を経て
扶養者が増えたタイミングでは、
保障内容の見直しが必須となります。

見直しが必要になる最大の理由は、
「人生の状況は変わるのに、
保険は加入当時のまま」
という構造です。

保険は長期契約であるがゆえに、
内容が放置されやすく、

知らずに
「不要な保障に高額な保険料を
払い続けている」ケースが
非常に多いのが実態です。

また、「医療費は高い」という
イメージだけで過剰に医療保険に
加入することも多いですが、

実際には高額療養費制度や
公的医療保険の制度により、
ある程度の上限が定められています。

つまり、数十万円レベルの医療費であれば、
生活防衛資金で十分対応できるケースも多く、
保険ではなく「貯金」で備える方が
合理的な選択となることもあります。

逆に見落とされがちなのが、
「就業不能」リスクです。

病気やケガで長期間
働けなくなった場合の収入減は、
実は最も大きな経済的ダメージとなります。

こうした収入保障保険や所得補償保険は、
若いうちに加入すれば保険料も抑えられ、
実用性が高いと言えます。

要するに、保険は「不安」によって契約され、
「無関心」によって維持される傾向があります。

だからこそ、数年に一度は見直しを行い、
「今の自分に必要な保障」だけを
選別していくことが重要です。

見直しには保険ショップや
ファイナンシャルプランナーの相談も
有効ですが、

その際も「安心を買う」のではなく、
「数字で納得する」視点を持つことが鍵です。

最終的に、保険とは
人生の戦略設計の一部です。

過剰な不安ではなく、具体的な数字と状況に
基づく判断が、「ムダな支出を減らし、
貯蓄と投資に資金を回す」
最適な道をつくります。

行動は1時間、効果は数十年という意味で、
保険の見直しは人生のレバレッジポイントです。